海底熟成酒は、日本酒や焼酎、ワインなどを、温度変化の少ない海中に一定期間沈めて、
熟成を促したもので、いま、全国各地で広がりはじめています。
佐伯市の鶴見地区ではまず、水産業の振興を図るべく、漁業従事者が協同で牡蠣養殖
を開始。さらに、牡蠣養殖の海域を有効活用しようと考え、地元の酒屋などと協力して
令和2年からはじめたのが海底熟成酒づくりです。
海底熟成酒は、水温が高くない、秋から春にかけて、4カ月から6カ月の間沈めます。
これまで、令和3年分も含め、2度の製造を実施。
2年目の出来は上々で、関係者もその仕上がりに安堵しているようです。
やっぱり海底に沈めるということはリスクがある。海水が入ったり、瓶が割れたり、
そうならないように、ロウで栓をする。これが一番大事なプロセス。
そう話すのは、牡蠣養殖と海底熟成酒づくりを行う「鶴見地域シングルシード養殖協議会」
の芦苅さんです。
鶴見地域シングルシード養殖協議会は、牡蠣養殖や海底熟成酒づくりを
はじめ、「地元の海で出来ること」を展望しています。
メンバーの中には、20代や30代の若い漁業者がいます。
「その漁業者たちが今後、佐伯の鶴見の海でやっていくために、本業と一緒に
何か別のことを、この海でやっていけるような形をつくってあげたい。」
芦刈さんはそう考えています。
佐伯市街地にある バー 「ラ・ナチュール」。店主でソムリエの古田さんは、
鶴見地区で家業の酒屋も経営。ワインの選定から、販売に至るまで、
佐伯市の海底熟成酒を開発する主要メンバーの一人です。
「酸味とか苦みとか渋みが、穏やかになって口当たりはまろやかになっていると感じる。
波の微振動や、いろんな海の底の音に、それらにお酒が何か影響を受けているようで、
すごい神秘的。相乗効果で一緒に牡蠣と海底熟成酒が、佐伯の方の名物になったら。」
そう、古田さんは想いを語ってくれました。
イベント名 | 佐伯市の新たな特産「海底熟成酒」 |