海沿いの町に住んでいると、夏に庭の片隅などに赤いハサミのカニが隠れていたり、素早く逃げていくのを見かけことがありませんか?
このカニはアカテガニという名前で、その名の通り、赤いハサミと甲羅のニッコリマークが目印です。日頃は海岸から少し離れた雑木林や石垣など湿り気の多い場所に生息する、つまり陸でくらすカニです。
ところが、初夏から秋の間、このカニたちは子どもを産むために一斉に海に向かって移動します。
中津の夏の夜の海岸では、数えきれないほどのアカテガニが集まっています。母ガニは大きな波をからだにかぶると、あしをしっかりふんばってからだをふるわせながら、お腹に抱えた卵をハサミでゆすります。その瞬間、卵が割れて波の中に赤ちゃんが産み落とされます。この赤ちゃんはゾエアと言って、まだカニの形をしていませんが、海の中で何回か脱皮して小さなカニになり、やがて、陸に戻ってくるのです。
深夜の海で繰り広げられる命が誕生する光景は、何度見ても感動します。
今年も子どもたちとアカテガニ観察会を行いました。子どもたちは、がんばれー、流されるなー!とお母さんガニを応援していました。
砂浜海岸がどんどんなくなる中、このような光景が見られる大分の海を大切にしたいですね。
NPO法人 水辺に遊ぶ会 足利由紀子
イベント名 | アカテガニ観察会 |